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プロジェクトや感想,技術トピックなどをまとめます.

技術部で取り組んでいるプロジェクトの一覧

非決定論的ルーティング

進行中

概要

 通信の秘匿が個人のプライバシー保護のみならず,検閲耐性や言論の自由を担保する上で不可欠なインフラストラクチャとなっている現代のディジタル社会において,The Onion Router(:Tor)は,この領域における古典的かつデファクト・スタンダートの方式として長年用いられてきた.通信経路上のパケットを多層暗号化し,比較的低遅延に転送を行うことで,Webブラウジング等の用途に耐えうる,実用的な匿名通信を実現している.この実用性の高さから,こんにちに至るまで,最も普及した匿名通信の基盤の1つとして位置付けられている.
 しかし,近年の研究により,Torにおける,トラヒック相関攻撃に対する脆弱性が指摘されている.固定化される経路長などが,特にグローバルな敵対者に対して構造的な弱点となり得ることが指摘されている.またパケットの順序性が保たれることから,出入り口の双方に,同一の影響力を持つ敵対者は,時系列の相関や特徴量に基づいて,送信者と最終的な受信者との対応づけを高確率で,正しく推定しうる.
 この弱点を補うために研究,開発が進められたもののうち,もっとも強固な匿名性を提供するインフラストラクチャの1つが,Mixnetである.Mixnetは,Mix Nodeと称される中継ノードで送信された複数のパケットを一時的にBatchingし,パケットの順序をMixingしてから最終受信者へ送出することで,入口と出口の相関を統計的に切断することを試みる.Batchingについて,設定された,あるパケット数に達するまで,受信したパケットを留まらせることから,ネットワークが疎であるなら,当然Batchingに掛かる時間は増大する.すなわち,Mixnetは意図的に遅延を発生させることにより,相関攻撃に対する耐性を獲得していると言える.
 匿名性のトリレンマから,表層Webのような,高速性を犠牲にすることによるトレードオフとして,強固な匿名性を得ることになるが,Nym Mixnetに代表されるように,Mixnetの実用化が本格的に実行されるほど,この関係がより顕著に現れると考える.確かに,パケットのMixingやBatchingは相関攻撃への対策として有効な手段ではあるが,その反面,ネットワーク全体のレイテンシを意図的に増大させることは,リアルタイム性が求められる,現代のユースケースに対しては,その実用性を狭めることとなる.
 本プロジェクトでは,この相関攻撃耐性および低遅延性という,2つの課題を同時に克服することを目的として,量子情報理論における形式知をルーティングに応用した,新たな匿名通信プロトコルにおける手法を提案する.
 本提案では,匿名通信におけるオーバーレイネットワーク上の通信プロセス全体を,1つの量子回路としてモデル化し,パケットの状態を,Hilbert空間における状態ベクトルとして定義する.このモデルにおいて,パケットは中継される状態および受信される状態の確率的な重ね合わせによって,ネットワーク内を遷移する.各ノードにおけるルーティング操作は,ベクトルに対するユニタリ変換として記述され,Groverの探索アルゴリズムにおける,確率遷移関数を用いることで,パケットが受信されるためのHop数,すなわち経路長を確率的に変動させる.
 このような,いわば非決定論的なアプローチにより,敵対者が考慮すべき探索空間を大きく増大させ,なおかつルーティング操作において意図的に遅延を発生させない設計とする.これにより,前述した課題を明確に克服できるアプローチになり得ると考える.

用いる手法

 既存の匿名オーバレイネットワークの,量子回路によるモデル化,およびGroverのアルゴリズムを用いて経路長に不安定的な変動をもたらすことで,エントロピーを増大させ,観測を困難にさせる.

それによって達成したい目標

 Torと同等の低遅延性を有し,かつ相関攻撃への耐性を有した,ASレベルの敵対者に耐えうる匿名通信プロトコルの設計

  • 2025年07月19日から
  • キーワード
    ネットワーク, プライバシー, 匿名性, 量子アルゴリズム
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